◆残酷な表現方法について
最近、日本昔話では過激な表現が控えられています。
例えば「ももたろう」の元のストーリーではキジが鬼の目を攻撃するのに対し、改訂版では肘を攻撃します。
「さるかに合戦」は「さるかにばなし」と題名まで変わり、内容も「さるかに合戦」ではさるが投げた柿に当たったお父さんのかにが死ぬのに対して、「さるかにばなし」は怪我をするだけです。(そして後で元気になります)また、さるの方も復讐にあって死ぬのに対し、懲らしめられて反省しみんなと仲良くなるという結末を迎えます。
どちらがいいかという話はここではしませんが、よりマイルドになって「子供に優しい話」に変えられているのは事実です。
ところが「おおかみと7ひきのこやぎ」では最後にオオカミが井戸に落ちます。しかも腹を切り裂かれて石をお腹に入れられ縫い合わされるというかなり残虐な方法です。最近では貴重ですよね。こういう話を読むと、子供に幅広い知識をつけさせたいのであれば、世界の昔話を読んであげたほうがいいのかなと思うこの頃です。
◆おおかみと7ひきのこやぎのバトル
「おおかみと7ひきのこやぎ」を何気なく読んでいると、
「オオカミ怖いな」
とか、
「子ヤギ負けるな」
とか思うのかもしれませんが、よくよく読んでみるとオオカミと子ヤギのバトルは結構高レベルです。
というのも、子ヤギたちはお母さんヤギの言いつけを守ってオオカミが来た時にドアを開けないようにします。そこでオオカミはお母さんヤギになりすまそうとするのですが、最初は、
「お母さんよ」
と名乗ります。ここでは子ヤギは冷静にお母さんはもっと高くて綺麗な声だと言って戸を開けません。
次にオオカミは声を変え、
「お母さんよ」と言います。一瞬、本物のお母さんが帰ってきたと思った子ヤギたちですが、さらに冷静になりオオカミの手を見て、黒いからお母さんの手ではないと気づきます。
最後にオオカミはチョークで手を白く塗り、
「お母さんよ」
と言って子ヤギたちを騙します。この三度にわたるバトルは、子供に無意識ながら訴えかけるものがあるのではないでしょうか。
◆結末はよく考えられている
さらにこの「おおかみと7ひきのこやぎ」の結末を見ても、なかなか教訓じみたものがあります。
まず6匹の子ヤギを食べられたお母さんヤギはオオカミを見つけます。寝ていたためお腹を割き子供を救出します。
これで終わってもハッピーエンドなのでしょうけど、その先のこと(オオカミを生かしていたらまた同じ目にあうためここでオオカミを始末してしまおう)まで考えられているとこ%