◆内容はいたってシンプル
「ライオンとネズミ」のストーリーはいたってシンプルです。強いライオンが弱いネズミを捕まえて食べようとするが、ネズミの必死な命乞いに根負けして逃がしてやります。逃がされたネズミは後日縄に引っかかって動けなくなってしまったライオンを助けてあげる…と言ったありがちと言えばありがちの展開です。
しかしよく紐解くと、ライオンとネズミの特徴が実によく描かれていて、子供がこの本を読んでもらったら、
「ライオンってこういう動物なんだ」
とか、
「ネズミってこういう特徴があるんだ」
とストーリー込みで覚えられるので、きっと「ライオンとネズミ」の話は忘れても、両者のイメージは記憶の片隅に残ることでしょう。
話も長くないので、何かの合間にさらっと読んでしまうのもよし、3回くらい続けて読んでも苦じゃないところがいいです。登場してくるのもライオンとネズミしかいないため、子供もストーリーに入り込めると思いますよ!
◆ライオンのプライドと「ありがとう」という言葉
「ライオンとネズミ」は人間が抱いている、
「ライオンはこういうプライドが高い動物なんだよ」
と言うライオンのイメージを全面に表現しています。
昼寝をしていたライオンのお腹の上を走るネズミを捕まえて食べようとするのですが、ネズミから、
「助けてくれたらきっと恩返しをする」
と言われます。ライオンがネズミに助けられることは絶対にないと言いつつも、最終的には、
「お腹が空いていないから今回だけは許してやる」
と言い逃がしてやります。ライオンのパートでとてもいいのは、最終的にネズミに助けられるのですが、恥ずかしそうにしながらも、
「ありがとう」
とちゃんとお礼をします。ライオンとネズミの力関係では圧倒的にライオンの方が上ですが、助けてもらったらちゃんとお礼をいうという教訓があり、実にいい絵本だと思います。
◆ネズミの気さくさ
「ライオンとネズミ」を教育面で捉えるとすると、ネズミのパートの方がユーモアがあって面白いかもしれません。遊んでいたのがライオンのお腹の上という間抜けなのかなんなのか(笑)。そして生きることを諦めないネズミはライオンに自分を助けてくれたらきっとご恩返ししますからと言います。
結局その場で逃がされることになったネズミ。後日縄にかかって動けなくなっているライオンを発見します。ここでは歯で縄をちぎりライオンを助けます。
ネズミの何かをかじる習性の描写も良かったし、ネズミが約束を守ってライオンを助けるというストーリーもいいです。受けた恩は忘れてはいけないという話なので、是非お子さんに読んであげてください!