◆子供目線で面白い!
「はらぺこあおむし」の良さは多々ありますが、ざっくり言って一番いいところと言ったら子供目線で描かれているところではないでしょうか。
絵も見やすい色を使用してはらぺこあおむしが食べるものは果物や甘いものばかり。毎日何かしらを食べるのですが、徐々に食べるものが増えていくというところがシンプルで分かりやすいです。
食べるものが毎日一種類なのですが食べる個数が増えていくので数字の学習にもぴったりです。そして土曜日には子供が好きそうなアイスやキャンディーやケーキが出てきて話に食いつくこと間違いなしです。
「次は何食べるのかな?」
とその先が気になるので、ページをめくる手もどんどん早くなっていきます。
さらにこの本のいいところは何度でも読めるということです。テンポがいい絵本なので子供は一回ではなく何回も、
「読んで」
と言ってくることがあると思います。(実際私も子供に読むとき一回この本を出したら五回は読まされます(笑)。しかし親としても何回読んでも分量が多いわけでもないし、特にストーリーがあるわけでもないので飽きないため何度でも読めます。
◆食べたものの真ん中がくり取られている
「はらぺこあおむし」がベストセラーになった所以は上記で挙げたこともあるのでしょうけど、一番の理由はあおむしが食べたものの絵の真ん中がくりぬかれているところではないかと思います。
大人からしてみたら、ただ食べたものの真ん中を切り取っただけじゃんと思うかもしれません。コロンブスの卵的発想で見たらそこまですごいアイディアじゃないと感じますが、いざ自分でどうにか工夫しろと言ったらなかなかこの発想は出てこないと思います。ただ真ん中をちょっとくり抜く。このシンプルさが子供からしてみたら面白いと思うのかもしれません(大人だったら変に絵を抉らせて、例えばりんごだったらりんごの芯を表現するといった手法を取ってしまうのではないでしょうか)
◆すぱっと終わらせるところが魅力的
さらに「はらぺこあおむし」がここまでブレイクした理由は、このシンプルな終わり方だと思います。青虫は太っちょになってすぐにちょうちょになります。ここには子供にこう感じてほしいといった訴えかけるものはなくいきなりすぱっと終わらせています。ここには何も感情はわきません。強いて言うと、
「あ~、ちょうちょになったんだ」
と言うくらいでしょう。そのため読後に変な感想を持つことなく、
「あっ、もう一回読も」
と言う風になるのだと思います。日本ではなかなかお目にかかれないパターンの絵本なので、オススメです。